【開幕戦完敗の浦和レッズ、ピッチ上で何が起きていたのか(2)】浦和を打ち負かすためのシナリオが開示された広島戦……「どの程度まで無理やり繋いでいくか」と振り返る迷いの画像
サンフレッチェ広島に完敗して落胆が見える浦和レッズの選手 撮影:中地拓也

 エディオンピースウイング広島にPKを告げる主審の笛が響き渡った直後に、浦和レッズのインサイドハーフ、小泉佳穂は思わず頭を抱えてしまった。

 1点ビハインドで迎えた53分。ボールをまったく前へ運べない状況を打破しようと、ペナルティーエリア内までポジションを下げてきた小泉が、パスの預けどころを探していた左サイドバック、渡邊凌磨から横パスを呼び込んだ。

 この瞬間を待っていたように、サンフレッチェ広島のFW加藤陸次樹がプレッシャーをかける。とっさに反応した小泉のトラップが大きくなったボールを、前半終了間際に先制ゴールを決めていたFW大橋祐紀があうんの呼吸で奪い取った。

 自軍のゴールを目指す大橋を倒し、イエローカードをもらった小泉が反省する。
「あの場面でもどの程度まで無理やり繋いでいくかで、ちょっと迷っているところがあった。後半はチームで繋ぐことにもっとチャレンジしたんですけど、技術的な問題だけでなく、プレーの選択判断という個人戦術の面でもリスクが高かった」

 FWピエロス・ソティリウが蹴ったPKはゴール左に外れた。しかし、広島に傾いた流れは変わらない。直後の55分。加藤が左サイドから上げたクロスに大橋が頭をヒットさせ、ゴール右隅に流し込んだ瞬間に事実上、勝負が決してしまった。

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