■関根貴大「解決方法をもうちょっと明確に」
期待のFWチアゴ・サンタナは、最前線で孤立する時間が多く、ロングボールを託されてもマーク役の荒木隼人にことごとく潰された。試合後には「今日だけは申し訳ない。外に家族を待たせているので」とだけ言い残して取材エリアを通過した。
今シーズンから指揮を執るペア=マティアス・ヘグモ監督は、左右のウイングをキープレイヤーにすえる。その左で先発した関根貴大は完敗をこう振り返った。
「繋ごうという意識がより強くなり、8番の選手がどんどん降りてきた結果として、前のスペースを自分たちで潰してしまう形になった。サンタナのところでボールが収まれば一番いいけど、それが無理だったら、次はウイングがどうにかしないといけない。チーム全員で解決方法をもうちょっと明確に整理できればよかった」
ボールを繋ぐ形にこだわり過ぎた浦和を、指揮を執って3年目になるミヒャエル・スキッベ監督のもと、相互理解と完成度をさらに高めている広島がすべての面で上回った。76分から途中出場した37歳のベテラン、興梠慎三が言う。
「相手には積み上げてきたベースがあったけど、ウチは監督が代わって公式戦のまだ1試合目。監督がやりたいサッカーを100%できたかと言うと難しかった。焦らずにやっていきたいけど、優勝するとなればどうしてもスタートダッシュが必要になってくる。これが連敗にならないようにやっていきたい」
近年にない大型補強で注目された浦和を、打ち負かすためのシナリオが開示された開幕戦。2シーズン連続で3位に入った広島だから可能だったのか否かは、埼玉スタジアムに昇格組の東京ヴェルディを迎える3月3日の次節で明らかになる。
(取材・文/藤江直人)