町田、磐田、東京Vら昇格組と期待の福岡、台風の目は?【Jリーグ2024年シーズン「開幕直前」各チーム戦力分析】(3)の画像
ルヴァンカップを制したアビスパ福岡の長谷部監督。撮影:中地拓也

 Jリーグの2024年シーズン開幕が近づいている。世界でも例を見ないほどに力が拮抗するJ1は毎年、さまざまな面白さを提供してくれる。今シーズンのJ1は、どのような展開になるのか。サッカージャーナリスト大住良之が、1月までの日本サッカーの歩みを踏まえつつ、各チームの新戦力や取り巻く状況などから今シーズンを占う。

■アジアカップの東南アジア勢、中東勢が示した可能性

 さて、2024シーズンのJ1の「優勝候補」を見てきたが、それ以上に、中堅、あるいは一般的には苦戦を予想する人が多いと思われるクラブの戦いぶりに、私は大きな期待を持っている。カギは、カタールで行われたアジアカップである。

 圧倒的に強いと予想されていた日本代表が初戦のベトナム戦から大苦戦し、その強さを見せつける試合がないまま準々決勝で敗退した。それだけではなく、今回のアジアカップでは、東南アジアのタイ、インドネシア、マレーシアが強豪を相手にしてもまったくひるまず、果敢に攻撃に出る姿勢を示した。

 もちろん、中東勢も果敢だった。カタールとの決勝に進出したヨルダンだけでなく、ラウンド16でイランとPK戦にまでもつれこんだシリア、同じくラウンド16でカタールに先制し、大奮闘を演じたパレスチナなどの戦いぶりは、心を打つものだった。そしてラウンド16でUAEに快勝し、準々決勝ではヨルダンに0-1で惜敗した中央アジアのタジキスタン。スピードに乗ったサッカーは、ファンを興奮させた。

 今回のアジアカップを盛り上げたのは、こうしたチームだった。これまでのようにあっさりと負けるのではなく、どの試合でも勝利の可能性を感じさせ、スタジアムを埋めたファンを沸かせ続けたのだ。そうした心を打つ試合が増えれば、Jリーグも、確実に盛り上がる。

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