■坂と階段の街
重慶は坂と階段の街でした。
中国大陸を西から東にかけて流れる長江に、北から流れてくる嘉陵江が合流する地点なので複雑な地形になるのです。
2つの大河が合流する付近は半島状になっていて、茶色に濁った水が渦巻いています。とても景色の良いところで、大きな船が行き交っています。ここから船に乗れば、はるか下流の上海までも行くことができます。
そして、川を見ながら食事のできるレストランもたくさんあります。
4年後の2008年に東アジアカップ(現在のE-1選手権)が重慶で開かれた時には、僕はわざわざ岬の先端に近い朝天門付近に泊まったものです。
たしかに景色は良いのですが、しかし、坂道だらけなので市内の移動は大変です。
荷物を運ぶのも重労働。そこで、重慶には「バンバン」と呼ばれる荷物運びの男たちがあちこちに待機しています。料金を払うと、天秤棒で荷物を運んでくれるのです(「バンバン」は漢字では「棒棒」と書きます)。
それから、中国は今ではすっかり自動車の社会となりましたが、かつては自転車が多い国でした。しかし、重慶では坂道だらけで自転車を漕ぐのは大変なのでしょう。自転車はほとんど見かけませんでした。