サッカー日本代表のアジアカップが幕を閉じた。準々決勝でのイラン戦は、終了間際にPKを決められるショッキングな逆転負けだった。だが、そこに至るまでの内容、大会を通しての戦い方は、どう評価され、今後に活かされるべきなのか。アジアカップ8強が持つ意味を、ベテランのサッカージャーナリスト、大住良之と後藤健生が語り合った。
■守備陣が抱えていた問題
――心構えもそうですが、準々決勝でのテクニカルな面での敗因は何でしょうか。
大住「前半残り10分くらいからの状況を変えきれなかったのが、イラン戦の敗因。あれだけ押し込まれていれば、ああやって最後にPKを奪われるようなことも、十分に想像できた。むしろ、それまでよくクリアしていたと思うし、褒めていいことだと思う」
後藤「オフサイドの判定で助けられた場面もあったんだから、何か手を打たないといけなかったよ。最後にPKを与えた板倉滉はどうだったの?」
大住「去年の良いときの強さやしなやかさ、対応力というのが、当時と比べて70%くらいかなという感じだった」
後藤「そうだよね。本当によく、あそこまでもっていたよ。最後にファウルをしちゃったのも、あの流れだったら仕方ない」
大住「ああいうDF同士のお見合いでの失点は2回目じゃないかな。他の試合でもあったよね」
後藤「板倉もずっとクラブで試合に出ていなくて、やはり本調子からほど遠かったんでしょ。バーレーン戦でも脚を痛めた場面があったよね」
大住「準々決勝には出ないんじゃないかという話もあったけど、ドリブルで運んだり、パスを出すあの能力を考えると、今のCB陣の中では欠かせない存在だという判断になったんだと思う」
後藤「板倉の調子が良ければ当然そうなんだけど、イラン戦の後半のような状況になったときに、交代で町田浩樹を使うとか、あるいは町田を入れて3バックにするとか、何か手を打つ必要があったよ。三笘を出すよりは、そちらの対処を考えたほうがよかった」
大住「だけど3バックにすると、攻撃の枚数が減るわけだよね」
後藤「しかし、ああいう状況になったら、まずは抑え切って流れを変えないと、どうにもならない」