■まさに真剣勝負

 日本はGK松永成立、DFは右に堀池巧、左に都並敏史、センターバックに井原正巳と柱谷哲二の4バック。この試合は攻撃の中心であるラモス瑠偉を体調不良で先発させられず、ハンス・オフト監督は代わりに吉田光範を起用、いつもはMFの左側でプレーする福田正博を「トップ下」に回し、吉田を左に置いた。右のMFは北澤豪。そしてオフトが好む「ダイヤモンド型」の中盤の底、今日でいえば「アンカー」のポジションに入ったのが森保である。2トップにはカズと高木琢也が並んだ。

 一進一退、まるで真剣で斬り合うような緊迫した試合だった。イランの右サイドバック、ジャバド・ザリンチェフの鋭い攻撃参加に悩まされつつも、日本は果敢に攻撃をした。だが、アジアでは圧倒的と言っていいフィジカルを誇るイランの守備は固く、0-0のまま試合が進む。オフト監督は後半23分には、ラモスとともにこの大会に入ってラッキーボーイになりつつあった中山雅史を投入して前線の人数を増やし、試合終盤は背番号17を背負った森保まで相手ペナルティーエリアに進出する。だが、0-0のまま時計は刻々と進む。

「その瞬間」が訪れたのは、後半40分のことだった。

(3)へ続く
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