このオフにFC東京から完全移籍で浦和レッズに加入したMF渡邊凌磨は、ちょっとした先入観を抱きながら新天地に合流し、始動直後の練習に驚かされた。
「浦和の選手たちはクラブW杯もあって休めていないし、ゆっくりとチームを立ち上げていくのかなと思っていたんですけど……意外と(ペースが)早いなと」
昨シーズンの浦和はJ1リーグ、YBCルヴァンカップ、天皇杯に加えて決勝だけが行われた2022シーズン分のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)、秋春制に移行したACLのグループリーグ、そしてアジア王者として臨んだ12月のFIFA・クラブW杯を合わせて実に60試合に到達。必然的に蓄積された疲労は限界を越えた。
「オフの期間自体も短かったので、まずはとにかく休んで、そこからサッカーに対して飢えようと。例年よりも体を動かしていなかったんですけど、休んでいた期間が短かった分だけ、コンディションが落ちた幅もそれほど大きくないですね」
35歳のMF岩尾憲は、異例の過密スケジュールがサッカーを徹底的に遠ざけたオフと、その間にサッカーへの大いなる飢餓感を生んだと笑う。森保ジャパンでのデビュー戦を含めて日本代表としても3試合に出場し、ゴールも決めたMF伊藤敦樹もこう続いた。
「自分も含めて、みんな気合いが入っているというか、ギラついています。新監督のもとで、またフラットな状態でスタメン争いも始まると思うので」