■岩尾憲が語る“メンバー外選手の働き”
ゲーム形式の練習で、安居海渡とともにサブ組のインサイドハーフを務めた伊藤は本当の勝負はこれからと前を見すえた。ペア・マティアス・ヘグモ新監督が新体制発表会見で、インサイドハーフにもゴールを求めたことも知っている。
「得点に関わる回数は多くなるし、その分、守備のタスクも増えてくる。両ウイングがワイドに張れば、自分が彼らをサポートする動きもそうだし、そこから斜めへのランもやりやすくなる。その意味でさらに運動量も必要になってくる」
ヘグモ監督がストロングポイントに掲げる、両ウイングの生かし方も思い描きながら、伊藤は気持ちも新たにポジション争いに挑む。ウイングにしても左に安部裕葵とウェステルローへの期限付き移籍から復帰した松尾佑介が、右には前田直輝とノルウェー代表のオラ・ソルバッケンの新加入組が虎視眈々と先発を狙う。
同じく新加入するスウェーデン代表のサミュエル・グスタフソンと、アンカーのポジションを争っていくと見られる岩尾は、すべてをポジティブにとらえている。
「ベンチ入りするメンバーに入れないかもしれない選手も出てきますけど、そういった選手の力がどこで必要になってくるのか、そういった選手が結果を出せるかどうかが、僕の経験からしても優勝に繋がっていくと思っています」
浦和史上で空前絶後と言える大型補強と、一気に厚くなった選手層が生み出す競争意識。さらに現状で2006シーズンの一度だけにとどまるJ1リーグ戦優勝への飢餓感が三位一体となって、新指揮官が掲げる攻撃的なサッカーの源泉と化していく。
(取材・文/藤江直人)