■岩尾「最後の局面に繋がる大事な要素」

 一夜明けた公開練習。不動のCBコンビ、アレクサンダー・ショルツとマリウス・ホイブラーデンが配置された、主力組と見られるチームのウイングでは、左で大畑歩夢関根貴大が、右ではFC東京から完全移籍で加入した渡邊凌磨がプレーした。

 新体制発表会見で、2列目やウイングを含めて「どのポジションでも、全力でプレーする」と語っていた渡邊は、周囲との擦り合わせが大事だと力を込めた。

「ワイドは考えることが多い。自分は一人で突破するタイプでもないので、(ワイドだと)そのあたりも考えていかなきゃいけないですね」

 一方でウイングを使う側は、新戦術へどのようなイメージを抱いているのか。

「最終局面はウイングと1トップに仕事をしてもらうなかで、彼らにはできるだけストレスフリーというか、優位な状態で仕掛けてほしい。その意味で中盤の3人が、どれだけ最終ラインと繋がっていけるか。3人目の動きや、空いている人、空いているスペースをいいタイミングで使えれば(ウイングが)前を向けるので、そこが最後の局面に繋がる大事な要素だと、中盤の人間としては考えています」

 こう語ったのは主力組のアンカーを務めた岩尾憲だ。自分により大きなプレッシャーをかける意味で、背番号を「19」から「6」に変えた35歳は、エニカット・パンヤや中島翔哉、早川隼平らが務めたインサイドハーフとの連携を含めてこう続ける。

「監督が正解とするイメージや情報をいち早く自分の頭に取り込んで、局面、局面でそれらを体現していくためにも、キャンプ中にはたくさん失敗してもいいかなと。監督としっかり話をしながらですけど、そういう時間の使い方をしていきたい」

 浦和ではこのオフに、攻撃陣を中心に数多くの選手が入れ替わった。相互理解を深めていくキーワードとして「失敗は成功の母になる」と力を込めた岩尾は、2011年に湘南ベルマーレでプロになってから、初めてと言っていいオフを過ごしていた。

(取材・文/藤江直人)

(後編へ続く)

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