■「休息」以外の重要な意味

 ただ、当時の「ハーフタイム」には、「休息」以外の重要な意味があった。19世紀の前半、英国のパブリックスクール(全寮制の私立中等教育学校)で行われていた「フットボール」で、他校との試合を円滑に進めるために考案されたのが「ハーフタイム」だったのだ。

 当時の「フットボール」には、主として2つの「人気ルール」があった。イートン校で使われていたもの(現在のサッカーに近い)と、ラグビー校で使われていたもの(もちろん、現在のラグビーに近い)である。異なったルールでプレーしているチーム同士が対戦するときには、たとえば「前半をイートン・ルールで、後半をラグビー・ルールで」というような取り決めをして競技を行ったらしい。「ハーフタイム」は、そのルール変更のタイミングの目安として使われたのである。

 1863年に「フットボール・アソシエーション」が誕生して今日の「サッカー」に近い統一ルールの下で試合が行われるようになったときには、当然、上記の意味でのハーフタイムの必要性は消えていた。実際、この年に書かれた最初のルールには、試合時間の規定もハーフタイムの規定もなかった。

 当時、試合時間は、対戦する両チームの話し合いで決められた。そして試合のなかでは、両チームが得点するごとにエンドが入れ替えられた。現在も、「ハーフタイム」の重要な機能のひとつは、エンドの入れ替えである。しかし得点のたびに入れ替えられるなら、ハーフタイムは不要ということになる。

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