■セットプレーの重要性

 もう一つ、武器として確立しておきたいのがセットプレーだ。

 森保一監督になって、日本代表は躍進している。ベトナム戦で史上最高の10連勝を記録。しかも、そのすべてで複数得点を決めているのだ。

 だが、セットプレーからの得点が少ないことが指摘されて久しいものの、まだ改善の兆しもないのが現状だ。

 正確なキックを蹴れる選手もおり、それなりに(少なくともアジア相手なら)高さでも見劣りするものではない。なぜ、セットプレーからのゴールが少なくなってしまったのか、かえって不思議なくらいだ。

 その点、今回のアジアカップの間に何らかのきっかけはつかんでほしい。

 日本代表は、1月4日に現地入りして、5日からカタールでトレーニングを始めた。そして、決勝戦は2月10日。つまり、日本代表が決勝に進出すれば1か月以上にわたってトレーニングができるのである。

 普段は(ワールドカップ予選や親善試合では)、集合して時差や長距離移動による疲労を調整してすぐに試合に臨み、そして、2試合を終えたらすぐにクラブに戻るという繰り返し。トレーニングといっても、調整あるいは戦術の確認でいっぱいなのだ。

 だが、カタールで1か月も合同トレーニングを実施できるのだから、この間に前述のような新しい攻撃パターンをいくつか見せてほしいし、また、セットプレーの型も構築しておいてほしい。

 もちろん、セットプレーについては最終的にはメンバーも決まった後のワールドカップ本大会直前の事前合宿で細部を詰めることになる。だが、今のうちにいくつかの基本形は作っておくべきだろう。

 ベトナム戦ではCKからの流れで先制ゴールが決まったが、伊東のCK自体は相手GKの前に蹴った普通のCKだった。たまたま、GKが触ったボールが板倉滉に当たって菅原の前に落ちただけだ。

 後半、ショートコーナーを使う場面もあったが、それもシンプルなものであり、「作り込んだ」セットプレーではなかった。

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