■後輩を守る言葉
それを象徴したのが、細谷真大(柏)と鈴木彩艶(シントトロイデン)という若い2人に対する気配りだ。
この日、スタメンに名を連ねたパリ五輪世代の2人はホロ苦いアジアカップデビューになってしまった。細谷はなかなか最前線でボールを受けられず、攻めの起点になれなかったうえ、守備のファーストDFとしても機能しきれなかった。そして鈴木の方も2失点に関与。特にベトナムの2点目の時はヘディングシュートを遠くに弾き切れず、「少し手の出し方にミスがあった」と反省していた。
南野はそんな彼らの姿に5年前の自分自身を重ねた部分があったのもしれない。実際、2019年UAE大会の彼は過度なプレッシャーに苦しみ続け、プレーのスケールがどんどん小さくなり、決定機を逃し続けた。ラストの決勝・カタール戦でようやく一矢報いる大会初ゴールを挙げたが、すでに時遅し。日の丸を背負ってチームを勝たせる難しさを痛感する羽目になったのだ。
「こういう短期決戦はすぐに次の試合がやってくるので、あまり考えすぎないこと。自分が本当にいいものを持ってるからこの場にいると思うし、それをチーム全員が分かっている。だから自信を持って次の試合とか練習にぶつけていってほしいなと思います。僕はまだまだ何かを言える立場じゃないんですけど、彼らが若い選手たちがチームの力になるっていうのはみんなが信じてることなんで」