■追加されたライン

 さて、レフェリーは壁の位置に泡でラインを引くに先だってボールの位置を確定し、そこにも泡で小さな印をつける。FKのときに「ずる」をするのは守備側だけでなく、攻撃側もボールを置き直すふりをしてさりげなく位置を変え、守備側がつくる「壁」にずれをつくろうとするからだ。

 最近では、もう1本のラインが描かれることも珍しくない。2019年のルール改正で、攻撃側の選手は守備側の選手がつくる「壁」から1メートル以上離れていなければならないことになった。その距離を示すためのラインである。ここまでいくと滑稽である。このままだと、ハーフタイムを迎える前にバニシング・スプレーが切れてしまうのではないかと心配になる。

 世界で広く使われているバニシング・スプレーは、「水80%、ブタンガス17%、界面活性剤1%、植物油など2%」といった組成らしい。現在Jリーグで使われているのは、「FKマジックライン」という名の商品で、ブタンガスではなく、液化石油ガス(LPG)が使われているという。スポーツ店で1600円程度で手に入れることができるが、グラスルーツのレフェリーがこんなものを使う必要があるのだろうか。

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