大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第128回「誰もが知っているのに誰も守らないルール」(3)ライトセーバーで一刀両断したいサッカーにとっての大いなる恥辱の画像
サッカーにとっての恥辱は一刀両断されるべきである(写真はイメージです) 撮影:中地拓也

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回のテーマは、「サッカー選手は、分かっているの?」

■新発明の誕生

 レフェリーという「先生」が入って歩測で「10ヤード」の距離を測り、「ここまで下がって」と言わなければ下がれないのが、サッカー選手という生き物であり、プロになるとそれがさらに徹底されるのは、滑稽でしかない。それどころか、いったんは下がっても、そこからじりじりと前進し、5センチ、10センチとボールに近づいてしまうのは、まさに「幼児以下」と言ってよい。

 その挙げ句に誕生したのが、「バニシング・スプレー」である。小さなスプレーからシェービングフォームのような泡を出し、それを用いてレフェリーがボールから10ヤードの距離のところに線を引くのだ。この泡は1分ほどしたら消える。「バニシングvanishing」は「消える」という意味である。

「シェービングフォームのような泡」と書いたが、私が毎朝使っているひげそり用の泡は1分間では消えてくれない。出がけにヒゲをそり、出先で人に会ったとき、「耳の後ろに白いものがついているよ」と注意されて赤面したのは、私だけではないだろう。この話は完全な蛇足である。

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