■警告に値する行為

 しかし1913年のルールブックには、「Opponents must not approach within ten yards of the ball till it is kicked.」となっている。「相手方選手は、ボールが蹴られるまで10ヤード以内に近づいてはならない」というのが、このルールの根本的な考え方なのである。笛が鳴ってFKが宣言されてから、前線から戻ってきた選手がボールの方向に走っていって素早いキックを妨害したり、まるで「守備側の権利」のようにボールの前まで寄っていって味方の壁づくりの指示をしたりするのは、明らかに違反行為なのである。

 レフェリーたちがなぜこんな行為を看過しているのか(あるいは仕方がないと思っているのか)、私には理解ができない。明らかにボールに向かって近づいた(approachした)選手には、断固イエローカードを示すべきだと、私は思っている。

 さて、FKがゴールに近い場合には、別の場所でも「第二の痴呆」が始まっている。数人の選手たちがボールから7メートルほどのところに「壁」をつくるのである。これらの選手にアンケートをとり、「FKのときには、守備側の選手はボールから何メートル離れなければならないでしょうか?」と尋ねたら、自由記述方式であっても、間違いなく全員が「9.15メートル」と書くに違いない。

 ところが実際に彼らが立っているのは、明らかにその三分の二程度の距離なのである。これを「痴呆」と言わずにどう表現したらいいのだろう。

(3)へ続く
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