■ひどい芝生
昔は、日本の芝生(夏芝)は冬になると枯れて白くなってしまうものでした。トヨタカップで来日したヨーロッパや南米の選手たちは、国立競技場の真っ白な芝生を見て、「これが芝生か?」と訝ったということです。
しかし、いくら真っ白でも芝生があればまだ良い方です。夏場に張り替えた西が丘サッカー場の芝生は、日本サッカーリーグ(JSL)や関東大学リーグの試合で酷使され、秋が深まってくるとすっかり禿げてしまい、12月に全日本大学選手権(インカレ)が行われる頃になると、芝生らしきものは姿を消して土のグラウンドになってしまいます。木枯らしが吹くと土煙が舞い上がる……。そんな状態でした。
西が丘では、ワールドカップ予選が行われたこともあります。日本サッカーの低迷期には、ワールドカップ予選でも収容1万人のスタジアムで十分だったのです。1989年の6月にはイタリア・ワールドカップ1次予選のインドネシア戦が行われましたが、雨に見舞われて芝生の禿げた西が丘のピッチは泥沼状態。インドネシア代表から、だいぶ文句を言われたということです。
とにかく、日本のサッカー場の芝生の状態はひどいものでした。