■メッシに通じる久保の能力
大住「力の差はあるとはいえ、それほど簡単な試合展開にはならなかった。日本がボールを持ち続けていたけれど、シリアは守りを固めていて、点を取るのは大変だなと思っていた。そういう状況で、あのクオリティの高いプレーで点を取ったのは、チームにとってすごく大きかったね。要するに、違いをつくれる選手になったということ」
後藤「リオネル・メッシを見ていると、何もないところから一人でゴールを生み出しちゃうけど、それに似た感じがあるよね。正確にコースを射抜く、あのシュートとかね。子どもの頃から相手を見ながらプレーして、自分の良いプレーを出すこと以上に相手が一番嫌がることを常に考えながらプレーできる選手だったよね。そういう賢い選手が、良いクラブに行くことで、さらに成長した」
大住「そう、環境は大事だよね。試合に出て、力を発揮できる環境が必要」
後藤「そうそう、今までの久保は頭の上をボールが行ったり来たりするようなチームにいることが多かったし、しかもなかなか試合に出してもらえなかった」
大住「選手が成長するには、持っている力だけじゃなくて、めぐり合わせが影響する。どういうクラブを選ぶかには、代理人や周囲が関係するかもしれないけど、良い環境を選んだはずが、必ずしもうまくいかないという事態も、サッカー選手には往々にして起こるからね。突然ライバルが出てきて試合に出るチャンスが減ったり、変なタイミングでケガをしてしまったりとかさ。久保は本当に良いクラブに入ったし、レアル・ソシエダで2シーズン目を迎えてさらにクラブからの信頼を高めたのは本当に良いことだよね」
後藤「昨シーズンまでは“ダビド・シルバの相棒”だったけど、今年は主役になったよね。そうなったのも、シルバが突然引退しちゃうという偶然が働いたから。とはいえ、チャンスをつかんだのは、彼の実力があってこそだよ」