■勝利にこだわる姿勢と育成・成長の両立

 シーズンラストマッチを終えたことで、1年間を戦ったチームへの想いを聞くと、「チームに対しては、どんな状況でも必死にやってくれましたし、よくついてきてくれたなというような、そういう思いでいます」と話す。

 そして、「1年間、頑張ってきたからこそ、最後に天皇杯のタイトルも取れたと思いますし、あの勝利も、決して自分たちらしいサッカーではなかったんですけど、ただ、僕自身はそういうサッカーでも勝てるっていうのは彼らの努力の結果だと思う。そこはメンタル面も含めていろいろな意味で素晴らしい成長を遂げてくれたのかなと思います。ただ来年に生かさないと意味がないので、そこはまた取り上げていきたい」とも言う。

 鬼木監督は、シーズン中盤に若手の育成に注力する中での気持ちを、「楽しいですよ」と口にしていた。蔚山戦後には「むしろ自分自身の力不足でもっともっとやれることがあったのではないかなという方が強いですね。今日のゲームもそうですね、最後、何とかあの頑張りを勝利まで持っていってあげたかった」と話していたが、勝利にこだわる姿勢と育成・成長の両立は、クラブのアカデミー年代のコーチとしての経験もある鬼木監督にとって成し遂げたいものだったといえる。

(取材・文/中地拓也)

(後編へ続く)

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