【J1川崎が取り組んだ23年の「成長」は、24年にどうつながるのか(2)】鬼木監督が「いい経験」と振り返った若手2選手が絡んだ失点……勝利と育成・成長の両立の中で送ったエールの画像
今季最終戦となったACL蔚山戦で指示を送る川崎フロンターレの鬼木達監督 撮影:中地拓也

 川崎フロンターレの2023年シーズンの公式戦ラストマッチは韓国・蔚山でのものだった。ACLグループステージ第5戦ですでに突破を決めていたチームは、PK戦まで戦い抜いた天皇杯決勝から中2日ということもあって、これまで試合になかなか絡めなかった選手を抜擢して挑んだ。

 松長根悠仁と名願斗哉がその象徴で、2人にとっては久々の公式戦出場で先発メンバーに。そして後半途中からは大関友翔もピッチに立ち、下部組織で10番を背負った背番号28は公式戦デビューを果たした。

 23年は新卒選手が4人いた。山田新、大関友翔、松長根悠仁、名願斗哉で、他にも、すでにトップ昇格をしていた高井幸大も高校を卒業して迎える初のシーズンとなった。そしてその全員が、公式戦に出場した経験を持って次年度に挑むことに。川崎にとっては、とてもレアなシーズンだったと言える。

 その蔚山戦後の会見で鬼木達監督は、先発した高井、松長根、名願について聞かれると、「3人ともアグレッシブにやってくれた。ただやっぱり力のあるチームと対峙したときには、ちょっとした隙から失点に絡んでしまうところもあったと思います。そういう意味では、非常にいい経験をしたのではないかなと思っていますし、そこをしっかりと次に生かしてほしいです」と振り返った。

 2-2で終えたこの試合の失点に若手選手が絡んでしまったが、それを「いい経験」という言葉で表し、そして、「次に生かしてほしい」とエールを送ることができるのは、指揮官の懐の深さと、チームとしてそこに力を割くことができる“余力”があったからだろう。チームは、結果を伴いながら成長を手にしているのだ。

 なお、高井には「安定感もあったと思います。強さ、スピードのところもしっかりと対応してましたし、声も一生懸命かけていたので、最終戦でまた一つ伸びてくれたかな」と目を細めている。

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