■大迫が自らにかけた重圧
ハイプレスからボールを奪うだけじゃ意味がない。いかに速く、いかに正確に相手ゴールへ迫れるか。ゴールや勝利という成功体験が増えるほど、新たな戦い方への自信が深まる。チームへ投げかけた言葉を介して、大迫は自らにも重圧をかけた。
それは、前線でターゲットを務め続けること。体を張ってボールを収め、周囲の味方を生かし、自らもゴールを狙う。ハイプレスからのショートカウンターに欠かせないピースを担うには、シーズンを通して最前線に立ち続ける必要があった。
「オフシーズンがすごく長かったのでしっかりと走り込んで、なおかつ出力を出せる体作りを目指しました。そのためにトレーナーさんにつきっきりでやってもらいましたし、シーズン中も週に1、2回はトレーナーさんについてもらっていました」
カタールW杯に臨む森保ジャパンから落選し、バックアップメンバー入りにも断りを入れた大迫は、オフからいま現在まで取り組んできた肉体改革をこう明かす。
その成果が自身初のJ1リーグ全34試合出場。そのうち先発は32度を数え、2829分のプレー時間は神戸のフィールドプレイヤーのなかで3番目に長かった。ピッチの内外でハイプレス戦法をけん引した大迫に、吉田監督も思わず目を細める。
「大迫、半端ないでしょう」
もっとも、今シーズンの神戸で大迫が果たした大仕事はそれだけではなかった。
(取材・文/藤江直人)