J1ヴィッセル神戸のGK前川黛也が12月5日、Jリーグアウォーズに出席した。しっかりメイクに励みながら、同僚に鋭いツッコミを受ける姿が、ピッチ上のプレーのみならずファンを喜ばせた。
29歳になった今年、前川は大きな飛躍を果たした。神戸の守護神として、クラブのJ1初優勝に貢献。自身は日本代表デビューも果たしていた。
ただし、簡単につかんだ栄光ではなかった。日本代表としてもプレーした父・和也さんが所属したサンフレッチェ広島では、ジュニアユースから昇格できなかった。大学を経て2017年にはプロ入りを果たすも、1年目は出場機会を得られなかった。
1人しか試合に出られないGKという難しいポジションながら、2年目から少しずつ出場機会を増やした。そして今年、初めて正GKとしてリーグ戦全試合でゴールを預かり、J1制覇を成し遂げた。
実直な歩みを示すかのように、性格は驚くほどに真面目だ。時にはいじられつつも、そのキャラクターがチームメイトやファンから愛されてきた。
Jリーグアウォーズでも、その姿勢は変わらなかった。開場前にはヘアメイクを受けている様子をクラブのSNSで公開されたが、慣れないことに緊張している様子や、大事な日にのどが乾燥して声が出ない姿が、ファンを喜ばせていた。
チームメイトも、ツッコミを入れずにはいられなかった。今季途中から期限付き移籍で加入したMF新井瑞希は、「本当にセットした??」との一言とともに、式典スタートを待つ前川の写真を自身のSNSで公開。そこにいるのは、確かにヘアメイクを受けたとは思えない「いつも通り」の前川だった。