■修正できなかった「悪癖」
12月2日の東京ヴェルディとのJ1昇格プレーオフ決勝で、清水エスパルスは1対1で引き分けた。リーグ戦の順位が下位の清水は、J1昇格を逃した。
試合後の記者会見に臨んだ秋葉忠宏監督は、「見てのとおり」と切り出したあと、しばらく間を置いた。頭のなかで様々な言葉が、思いが、駆け巡ったのだろう。そこから一気に吐き出すように続けた。
「何も勝ち取れなかった。ただただ、それだけです。何回負けて泣いてるんだ、と。プロとして何も残せない、まだまだ足りないということですから、僕も含めて下を向いている場合でも、泣いている場合でもない。まだまだフットボーラーとして、プロとして、人間力、勝負強さ、メンタリティー、そういうものがすべて足りないということ」
今シーズンの清水はブラジル人のゼ・リカルド監督のもとでスタートしたが、開幕から7戦連続で勝利から遠ざかり(5分2敗)、4月8日の8節から秋葉監督がコーチから昇格して指揮を執った。そこからチームを立て直していったものの、2位で自動昇格したジュビロ磐田には勝点1及ばず、東京Vにも勝点1差で3位を譲った。ゼ・リカルド監督指揮下の「失われた7試合」が、いまさらながら悔やまれる。
しかしながら、ゲーム終盤の失点で勝点3が1に、勝点1が0になってしまう試合は、J1で17位に終わった昨シーズンも経験している。
MF白崎凌兵が言う。この30歳は22年、23年と主力を担っている。
「リーグ戦を終えてみると、あと勝点1をどこかの試合で取っていればとか、振り返るとそういうふうになるんですけど、ホントにこれがリーグ戦だし、勝点1の重みは去年も自分たちは味わっているはずだし、たかが『1』だけど、そこが………取れてないのが実力だと思うし、すべてにおいて足りてないかなとは思います。
守備にしても攻撃にしても、もっともっと成熟しないといけないし、もっともっとやらないといけないし。そういったところがシーズンを通して、今日だけじゃなくてここで勝たないとという試合で、自分たちはことごとく勝ち切れなかった印象があるので、ホントの実力をつけていかないといけないな、と思います」
後半アディショナルタイムのPK献上で東京Vに追いつかれ、清水はJ1昇格を逃した。この一戦だけを切り取れば、PKを与えてしまったCB高橋祐治の対応が責められる。ただ、重要な試合を取りきれない体質は、このプレーオフ決勝に限ったことではない。昨シーズンから繰り返されているのだ。
「超攻撃的」、「超アグレッシブ」のスタイルを掲げながら、勝てば自力で昇格を決められる最終節は勝点1点に終わり、2位から4位へ転落した。プレーオフ準決勝は無得点で、決勝はPKによる1点にとどまった。持ち前の攻撃力を発揮できなかったことも、J1昇格を逃した要因にあげられる。