■何かを変えるために「本気度」が問われる
試合後の取材エリアで足を止めたMF乾貴士は、「J2のチームだということです。それ以外何もないです」と切り出した。厳しい表情で「J2のチーム」の意味を語る。
「これだけ勝負弱い。ここで勝てばという試合がシーズンを通して何回もありましたし、それを勝ち切れなかった。今回も1対0で終われればもちろん上がれましたけど、ああいうところでああいうミスをしてしまうということは、自分たちはJ2のチームだということだと思います。
一人ひとりのクオリティを考えればJ1にいてもおかしくないのかもしれないですけど、でも結局はJ2のなかで4位、プレーオフで勝てず、なので自分たちはJ2のチームだということだと思います」
リーグ戦42試合で14引分けは、プレーオフ圏の6位まででもっとも多い。そのうち5つはゼ・リカルド前監督指揮下のものだが、上位チーム相手に強さを見せつける一方で、中位から下位に意外な引分けや敗戦を喫するのが、清水というチームである。それなりの安定感はあるものの、そのレベルを上げることができなかった。試合を重ねながらチームとしての成熟度を高め、夏の補強でチームのクオリティも高めた東京VにJ1昇格を譲ったのも、振り返れば当然だっただろう。
乾が続ける。
「勝ち切れないのは去年からずっとそうなんで。ロスタイムに追いつかれるとか、そういうのが続いているので、何かを変えなければいけないとは思いますけど、いまはちょっと、考えられないです」
秋葉監督も「まだまだ緩くて甘いんだろうと思っていますから、何かを根本的に、それは僕も含めて変えなければ、ずっとこれを繰り返すだけ」と言う。
このままではいけないのは、誰もが分かっている。J1のクラブにも見劣りしない「個」が、本当の意味で戦える集団となっていくために。清水の本気度が問われる。