J2の東京ヴェルディが、16シーズンぶりとなるJ1復帰を決めた。プレーオフでの舞台裏ならぬゴール裏の様子に、感動の声が広がっている。
東京Vは12月2日、国立競技場で清水エスパルスとのJ1プレーオフ決勝に臨んだ。どちらも勝てば文句なしでJ1昇格という、まさに王手をかけた一戦だった。
レギュラーシーズン最終節で、清水は水戸ホーリーホックと引き分け、自動昇格圏だった2位から4位へ後退。東京Vは大宮アルディージャに2-0で勝利し、3位へと浮上していた。
ともにプレーオフ準決勝を勝ち抜いたが、東京Vがジェフユナイテッド千葉に2-1で勝利したのに対して、清水はモンテディオ山形と0-0で引き分けた。レギュラーシーズンの順位が上である清水が勝ち上がったのだが、このレギュレーションが決勝では清水に重くのしかかることになる。
引き分けではJ1昇格をつかめない清水は、序盤から相手ゴールに向けてボールを動かす。なかなかシュートには至らなかったが、63分にはチアゴ・サンタナのPKで大きな先制点を奪った。
対する東京Vは、どうしてもゴールが必要な状況になった。相手が5バック気味の布陣を敷く中、1点ビハインドのまま8分間のアディショナルタイムに突入した。
5万人を超えるファン・サポーターが見守る中、時計の針は進んでいく。万事休すと思われたが、勝利の女神は東京Vを見据えていなかった。土壇場で、PKを獲得したのだ。
ペナルティスポットにボールを置いたのは、染野唯月だった。のしかかる重圧は相当なものだっただろうが、緊張を分かち合った人々がいる。スタジアムにかけつけたファン・サポーターである。
誰もがPKに目を奪われる瞬間、カメラは違う場面をとらえていた。東京Vのゴール裏である。
JリーグがSNSで公開した動画で、スタンドは止めることなくチャントを歌い続けている。その歌声が一瞬止まり、次の瞬間に歓喜が爆発する。染野がPKを決めたのだ。