■互いを成長させる関係
だが、森保監督は2026年ワールドカップの右サイドバックは菅原で行くと、早くから決断していたようだ。3月の2試合には、まだ32歳で、所属の浦和ではキャプテンとして活躍していた酒井宏樹を選外とし、22歳の菅原を起用したのである。
チームは生き物である。個々が優れた力をもっていても、それがチームのなかで機能しない限りチーム力は上がらない。菅原の活躍の背景には、周囲を生かすことに長けた伊東純也という最高のパートナーの存在がある。アタッカーとしては信じ難いほど調子の波がない伊東は、2022年ワールドカップのアジア最終予選で一躍エースにのし上がったが、その後、30歳を迎えたことしも成長を続けている。そして菅原との破壊的な右サイドを構築し、プレーの幅を広げている。
そしてまた、チームの成長には、急成長する選手の存在が不可欠である。試合ごとに成長していく選手がひとりでもいれば、チームは試合ごとに新しいものを発見し、成長していくことができる。2023年の日本代表で、成長が最も顕著だったのが菅原だった。その前向きの姿勢、圧倒的な決断力とそれに伴うプレーが、日本代表をかつてないレベルに到達させた。
菅原由勢。23歳の右サイドバックが、日本代表を変えたのである。