■幅広いタスクを高いレベルでこなす
2022年カタールW杯でも右MF、右ウイングバック、2シャドウ、FWと多彩な役割をこなし、守備面では最終ラインまで下がってサポートに入るような献身性を示していたが、とにかく今の伊東は幅広いタスクを高いレベルでこなせる。その一挙手一投足は見る者にワクワク感を与える。敵にとっては紛れもなく脅威であり、彼をフリーにしたら手が付けられない。まさに「戦術・伊東」と言うべき存在感を発揮しているのだ。
「30を過ぎてベテランと言われる年齢になりましたけど、衰えは全く感じない」と本人は口癖のように言い続けているが、この調子ならよほどのアクシデントがない限り、2026年W杯までは全く問題なさそうだ。来夏の移籍史上で欧州CLレベルのクラブにステップアップするようなことがあれば、フィジカル的に厳しくなる可能性もゼロではないが、タフな伊東ならあと3年くらいは涼しい顔で走り抜けてくれるのではないか。
30代の伊東がトップに君臨し続ける姿を見れば、年齢の若い三笘や堂安らも負けていられないと危機感を募らせるはず。細谷らパリ五輪世代の選手はなおさらだ。そういう意味でも彼にはイナズマのようなプレーを来年以降も維持し続ける責務がある。
2024年1~2月のアジアカップ(カタール)ではMVPに輝くくらいのインパクトを残してもらうべく、年内のフランス1部でゴール・アシスト数を最大限引き上げること。それに努めてほしいものである。
(取材・文/元川悦子)