■トヨタカップでの導入

 ちなみに、1980年代はじめ、初期のトヨタカップで使われたカメラマン用の「ビブス」は、まさに「ゼッケン」だった。

 それ以前の日本国内の試合では、カメラを持っていればカメラマンだった。新聞社のカメラマンは黄色い腕章を巻いたりしていたが、他のカメラマンは何もつけていなかった。だが、国際サッカー連盟(FIFA)も関与する本格的な国際大会であるトヨタカップでは、世界で行われているように取材許可を受けたカメラマンであることが誰の目にもわかるようにしなければならないと、初めて「ビブス」が使われた。それが「ゼッケン型」だったのだ。

 30センチ四方ほどの2枚の赤い布に番号が白く大きくプリントされ、その2枚をつなぐ2本の白い布テープに首を通して前後にかけ、脇につけられた白い布テープを縛って固定する形だった。

 どういうわけかその「ゼッケン」を10枚ほど手に入れた私は、「これは使える」とひらめいた。私が通っていたスポーツクラブでは「ミニサッカー」のクラスがあり、縦15メートル、横10メートルほどのコートがあって、毎回2チームに分かれてひたすらゲームをしていた。ただ、チーム分けが明瞭でなく、困ることも多かった。そこでそのクラスにトヨタカップの「ゼッケン」を持ち込み、一方のチームにつけさせてゲームを楽しんだのだ。当然、「わかりやすい」と、参加者たちには好評だった。

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