まず甲府を悩ませた「ホームスタジアム問題」【ベテランジャーナリストがJリーグの「クラブ・オブ・ザ・イヤー」に甲府を選ぶ理由】(2)の画像
甲府はACLで国立競技場を使用 撮影:原悦生(SONYα1使用)

 Jリーグは佳境に入っている。シーズン終了後には毎年、さまざまなチームや選手が表彰される。その中にはない賞ではあるが、ベテランのサッカージャーナリスト大住良之は「クラブ・オブ・ザ・イヤー」としてヴァンフォーレ甲府を称えたいという。甲府のピッチ内外の奮闘を挙げながら、その理由をつづる。

■認められないスタジアム

 ACLは、従来2月から11月にかけて行われていたが、甲府が出場する2023-24年大会から日程が変わり、グループステージの開幕が9月、年内にグループステージ全6節を終了して2024年の2月から5月にかけて「ノックアウトステージ」を開催する形となった。甲府にとっては、昨年10月に天皇杯で優勝してから10か月以上の「準備期間」を与えられたのは幸運だったかもしれない。しかしそれは同時に、2023年のJ2の終盤戦と並行してACLのグループステージを戦わなければならないという厳しい日程となることも意味していた。

 最初に問題となったのは、ホームスタジアムだった。甲府がホームとしている山梨県所有のJITリサイクルインクスタジアム(通称JITス)が、ACLの「開催基準」に適合していなかったのだ。収容1万5853人。屋根のカバー率の問題はあるが、「J1基準」は満たしている。しかし「個席」を義務付けているACLでは、JITスタジアムの「ベンチ式シート」は認められていなかったのだ。

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