「あの敗戦で決して全てが無駄になったわけではなくて、あそこで悔しい思いをしたからこそ、また次ああいう舞台があったときに、二度と同じ思いをしたくないという姿勢で臨む気持ちが出てくる」
興梠慎三が”あの敗戦”と表現したのは他でもない、ルヴァン杯ファイナルのアビスパ福岡戦だ。ACLのアウェー浦項戦の4日前に、浦和レッズは国立競技場で屈辱的な敗戦を味わい、その直後にアウェーで浦項スティーラーズと対戦するために、韓国へと移動した。
マチェイ・スコルジャ監督が”人生を変えるシリーズ”として選手たちに伝えていた5つのビッグゲームが続くシリーズにおいて、浦和はホームで浦項に0ー2で敗れ、J1優勝の望みを繋ぐためのアウェー鹿島戦で勝ちきれず、スコアレスドローに終わった。そしてルヴァン杯で優勝を逃した。
おそらく10月20日に、柏レイソルに2−0で勝利した時点で、全く思い描いていなかった結果であり、ただでも過密日程続きでチーム全体が疲労しているところに、メンタルのダメージまで重なったのだから、その厳しさと言うのは推して知るべしだ。
それでもリベンジマッチとなるはずだったアウェーの浦項戦は守備のバランスを考えながらも、先に点を奪って勝ちに行くという意欲に満ち溢れるパフォーマンスであり、矢印が前に向いていたからこそ、鮮やかなカウンターからホセ・カンテの先制ゴールは生まれたのだ。