■主力3人の登場で上がったギア
しかし、同じく過密日程ながら韓国FAカップのファイナルで、全北現代を破って優勝を果たした浦項は後半スタートからFWゼカなど、本来の主力である3人が出たことによりギアが上がってきた。ただ、浦和の失点自体は相手のクリアしたシーンで、マリウス・ホイブラーテンの手にボールが当たったことがVARチェックで判明し、ゼカにPKを決められるという不運な形ではあった。そこから流れを浦項に持って行かれてしまい、カウンターを阻止しようとした明本考浩が後ろからMFコ・ヨンジュンを削ってしまい、一度はイエローが出されたが、VARチェックによりレッドに訂正された。
10人になっても勝ちに行く姿勢を崩さない浦和は4ー2ー3のような形で、途中出場のブライアン・リンセンに加えて終盤には興梠を投入して、何が何でも勝ち点3を掴み取るという姿勢がマチェイ監督の采配にも、ピッチの選手たちの意欲にも表れていた。後半のアディショナルタイムが9分という提示で、お互いが勝ち点3を狙う攻防が繰り広げられる中で、勝ち越しのゴールを掴み取ったのは浦項の方だった。後味が悪くなったのは一度、異議でイエローをもらっていたマチェイ監督が、失点直後に不可解なレッドカードを提示されて、退席処分となったことだ。
代わりに記者会見に出たラファ・ジャナスコーチもレッドカードについては理由が分からず、説明待ちだということを明かした。浦和としてはルヴァン杯ファイナルの敗戦から奮起して、ここ数試合ではベストと言えるパフォーマンスを示した結果であり、ホームで敗れた試合とは内容面も違っていただけに、選手たちも今やれることをやり切った充実感と、結果が付いてこなかった悔しさがないまぜになった様子だった。
(取材・文/河治良幸)
(後編へ続く)