■出血が確認されながらの出場

 前線にはエースのホセ・カンテに加えてブライアン・リンセンも投入されて、彼らは前で前でボールを受けようとする。しかし、福岡の危険なカウンターやロングボールがあり、FWの山岸祐也紺野和也、後半に投入された金森健志という縦に仕掛けられる選手たちの脅威もあり、ラインを上げていけない。結果的に一人ひとりの距離がかなり遠くなってしまっていた。

 そうした状況の難しさに加えて、大久保自身にも不安があった。もともと「マックス30ぐらいというような感じでもあった」という大久保は、9月2日のアルビレックス新潟戦で前半に左太ももを痛めて戦線を離脱。そこから1ヶ月半後のルヴァン杯準決勝、横浜F・マリノス戦の第二戦で途中出場した大久保は柏レイソル戦でスタメン起用されると、2得点に絡む活躍で2−0の勝利に貢献した。

 しかし、ハイパフォーマンスの反動か「その後の張りが強くて」と振り返る大久保はACLの浦項戦にも2点を追いかける後半途中に投入されて、ギアを上げていかないと行けない段階で「これ以上無理した時に、なんかまたやりそうな感じがあった」と明かす。
 メディカルチェックの結果、元々痛めたところとは違う箇所に出血が見られたという。そうした理由もあり、浦和にとってはリーグ優勝の望みをつなぐ大事な試合だった10月28日の鹿島戦はベンチ外になった。ルヴァン杯の決勝も欠場するのではないかと筆者は予想したが、実際はベンチに名を連ねて、本人が想定していたより早い後半スタートからの登場となった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3