■難しいオフサイドの判定

 もう一つ、VAR導入以来、判定基準がやたらに細かくなり、判定に時間を取るようになっているのが、オフサイドの反則だ。

 オフサイドの判定というのは、従来は(現在でも、VARが導入されない試合では)アシスタント・レフェリー(副審)の“名人芸”に委ねられていた。ボールがプレーされた瞬間に、ラインを巡って高速で駆け引きをするDFとFWのすべてを視野に入れて、正しくオフサイドを判定することは「神業」に近い。

 だが、大住良之さんが『サッカー批評Web』でも何度か紹介してくれているが、日本人審判員は素晴らしい精度で難しいオフサイドの判定ができるのだという(VAR導入によって、そうした伝統が途切れるのはもったいない)。

 ただ、いずれにしても、厳密に突き詰めていけば、オフサイドを肉眼で100%正確に判定するのは不可能に違いない。

 まさに、それこそVARの役割。「これで、判定に関するもめごとはなくなり、判定も迅速化される」と期待したのだが、結果は逆だった。

 オフサイド判定の基準がますます厳密化され、それに伴って判定に時間がかかるようになったのだ。

(3)へ続く
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