長年話し合われてきたJリーグのシーズン制で、大きな動きがあるようだ。「秋春制」への移行が近づいている、と報じられている。白黒つかざるを得ない案件ではあるが、その内容について、もっと吟味するべきではないか。シーズン制で本当に考えるべき点を、サッカージャーナリスト・後藤健生が指摘する。
■2つのリーグ戦
もし、年に2度の長い中断があるのなら、秋春制でも、春秋制でも、実質的には同じことになってしまう。「春のリーグ戦」と「秋のリーグ戦」を一つのシーズンと考えるなら、それが春秋制だし、逆に、「秋のリーグ戦」と「春のリーグ戦」を一つと見なすなら、それがすなわち秋春制ということになる。それだけの違いだ。
秋のリーグ戦の前(秋春制とするならシーズン開幕前。春秋制のままならサマーブレーク中)には、各クラブは涼しい地域で合宿を行ってチーム作りを行うことだろう。ヨーロッパのクラブに移籍した選手が抜け、ヨーロッパのクラブから加入する選手を加えての合宿だ。
一方、春のリーグ戦の前(秋春制と考えればウィンターブレーク中。春秋制のままなら開幕前)にも、各チームは温暖な地域では合宿を行うだろう。
春の合宿では、海外に移籍したり、海外から加わる選手はいないが、逆に大学や高校チーム、JFLチームから加入する新戦力が加わるので、やはり新チームが出来上がる。
夏と冬に長期の中断期間があるリーグ戦……。その場合の最も大きな弊害は、一般の人にとってサッカーのシーズン制がますます分かりにくくなってしまうことだ。