■「あれが自分の中で一番変わった瞬間」
鬼木監督は、「自分の中であれがすごく衝撃的な負け方で。試合が終わったら、“できたこと”というのがいっぱい出てきて。多分、あれがあったから、多分リーグで勝てたと思うし、うん」とうなづく。
その一例が、2017年10月14日のベガルタ仙台戦だという。等々力競技場で行われたこの試合の前半42分、家長昭博が2枚目のイエローカードを受けて退場。その後、後半15分までに2失点を喫して敗戦濃厚となる。
しかし、後半37分にエウシーニョが1点を返すと、同39分、同42分と小林悠が立て続けに得点。奇跡的な逆転劇を披露した。鬼木監督は、「ホームの仙台戦で1人減ったところで、悠の得点で逆転したのも全部自分の中で繋がっていて。で、今がある」と話す。
そして、改めて17年のACL浦和レッズ戦について、「何がって言われれば、あれが自分の中で一番変わった瞬間かなと思います。いわゆる数的不利の部分だけじゃなくて、いろんなもの全てですね、全部。すごく学ばされたゲームです」と明かす。
どう変わったのか、そして、何を感じたのかなどは戦術的な機微に触れるため、「あんまり言えないけど(笑)」と笑顔を見せたが、何度もうなづきながら話すその姿からも、その試合の重要性を感じさせた。
退場という、試合を難しくする試合の転換。それでも川崎が怯むことなくピッチで前に出続けることができるのは、鬼木フロンターレとしての積み重ねが大きいようだ。
(取材・文/中地拓也)