今季の川崎フロンターレは数的不利の状態で戦った試合が7度ある。開幕からの2戦連続を始め、直近の柏レイソル戦でもレッドカードが提示されていた。
しかし鬼木達監督は、「いや、今年(が特に)っていう感じではないです、正直。今年も正直多いなっていうのはありますけど」と話し、意外な話を続けた。この時に筆者がした質問は、こうした数的不利での試合が多いが、そうした経験の積み重ねが生きていることで、同点につながったのではないかというものだった。
鬼木監督はやや唸りながら、そして、視線を遠くに向けながら「一番最初に、本当に一番考えたのは、監督になったときの2017年のACLで浦和戦で(車屋)紳太郎が退場した、あのゲームが多分……。そこから変わったかな、いろんなことが」と話し、「あのゲームがけっこう全部でしたね、自分のキャリアの中でも大きく成長させてもらったゲーム」と続けたのだった。
それは2017年9月14日に埼玉スタジアムで開催されたACL準々決勝第2戦で、8月23日の第1戦を3-1で終え、準決勝進出が有利とされていた試合だ。前半19分にエウシーニョが先制点をゲットしたことで、前半のうちに準決勝の“切符”を手にしたと感じてもおかしくないものだった。同35分にスルーパスに抜け出した興梠慎三に同点弾を許したものの、優位性は変わらない。