【川崎からパトゥムへ受け継がれた横断幕の舞台裏(2)】試合後の誰もいないピッチに、チャナティップは横断幕を見るために訪れていた――両チームのサポーターが交わした「1つの約束」の画像
ACL第3戦でパトゥムのチャナティップは川崎フロンターレの選手と対峙した 撮影:中地拓也

 ACL第3戦、BGパトゥム・ユナイテッドと川崎フロンターレの試合前に、横断幕が贈呈されることとなった。そのきっかけはあるサポーターチャナティップへの愛であり、移籍した同選手の新天地での活躍を願って、パトゥムサポーターへ手渡しすることが決まったことは、この記事の前編で書いた。

 パトゥムのクラブもサポーターもそれを喜んだが、ここでAFCの許可取りに迫られる。ACLの試合会場でのイベントには、その主催者の許諾が必要なのである。かつて、あるJリーグ関係者は、それぞれのクラブがJリーグでやっているようなごくごく当たり前のイベントを行うこともできないと嘆いて話していたことがあった。またかつて、あるサポーターは掲げようとしたフラッグを没収されたこともあった。まさしくそれが、降りかかったようだ。

 その際に仲介役に入ったのが川崎の別のサポーターだ。パトゥム関係者と連絡を取り、そして、パトゥムがクラブとしてAFCに許可を求めた。横断幕の内容にもチェックが入ったが、開催前日にGOサインが出た。かくして、両チームのサポーターが試合前に集まることになった。選手を乗せたバスがスタジアムに入った5分後のことである。 

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