■交わされた約束

 この横断幕の“オーナー”はMさんだが、川崎フロンターレサポーターも多く集まり交流を持った。印象的だったのは、Mさんが我が子を預けるようにしてその横断幕についていろいろ確認していた姿だ。

 そして、両チームのサポーターが集まって一つの約束が交わされた。11月7日に等々力競技場で行われるACL第4戦、川崎対パトゥムの会場にこの横断幕を持って行って掲げることを、である。

 この日の試合でも、実際に横断幕が掲げられた。パトゥムはもともとゴール裏に横断幕を掲げる文化がないようで、チャナティップを鼓舞するこの横断幕はパトゥム側のゴール裏(正確にはSゾーン)で威容を放った。それに後押しされるかのように、ホームチームの背番号18は古巣相手に攻守で奮闘した。

 試合は4-2で川崎が勝った。Mさんが試合前に、「真剣勝負なんで、今はちょっとお祭り雰囲気みたいになっちゃってるけど、ガチガチに戦って、チャナティップに決められないように頑張っていかなきゃいけない」と真剣勝負だからこそ割り切った気持ちの通りの結果になった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4