■レトロな蹴球会館
当時、大韓蹴球協会はソウル市内を東西に走る大通り、鍾路(チョンロ)の北側の細い通りを入ったところにありました。
地下鉄1号線の「鍾閣(チョンガク)駅」の近くです。
鍾路を挟んで南側は、サラリーマン相手の飲み屋が並ぶ武橋洞(ムギョドン)という盛り場でした。東京でいえば、新橋のような所ですね。今は、周辺一帯は再開発されてしまいましたが、武橋洞の盛り場は今も健在のようです。
今は市内を流れる漢江(ハンガン)より南の、いわゆる江南(カンナム)地区がファッションやグルメの街としてにぎわっていますが、1988年のソウル・オリンピック前は江南の開発はあまり進んでいませんでした。ちょっとご縁があって、江南区清潭(チョンダム)洞という所の旅館に何度か泊まったことがあるのですが、今は近代的な繁華街になっている清潭も、当時はアパートのほかには何もない場所でした。
さて、協会のビルは狭い土地に無理やり建てた、たしか5、6階建ての細長くて、かなり時代が経った古い建物で、玄関には「蹴球会館(チュックフェグァン)」というレトロな木の看板が懸かっていました。おそらく、朝鮮戦争後の1950年代に建てられたビルだったのでしょう。
はっきり言えば、かなりのオンボロ・ビルだったのです。