■11月に始まる「非対称戦」

 しかし、「非対称戦」を観戦するのは難しい。

 まず、「非対称戦」では、一つひとつの試合の勝敗で一喜一憂してはいけない。勝ったとしても内容が悪ければうれしくないことだってあるし、逆に敗れたとしても悲観すべきではない。両チームのカテゴリーや置かれた位置を考えて、その試合が両チームのチーム作りのためにどのように役立つのかを考えながら見ていかなくてはならないからだ。

 11月から始まるのは、「ワールドカップ予選」という名の「非対称戦」だ。

 日本代表は、昨年のカタール・ワールドカップでは優勝経験のあるドイツとスペインに対して、「弱者」として「非対称戦」をしかけた。前半は一方的に押しまくられ、後半、選手交代を使って一気に攻撃的に切り替えて連続ゴールを決めて逆転勝ちというシナリオで強豪国を倒した。相手も、日本を過小評価してくれていた(アントニオ・リュディガーの浅野拓磨に対する、挑発的な動きを覚えているだろうか?)。

 だが、9月の再戦では日本はドイツに「正規戦」で挑んで、完勝して見せたのだ。

 これからは、日本がワールドカップ優勝経験国と戦う試合は「非対称戦」ではなくなった。

 そのかわり、アジア諸国との戦いはほぼすべてが「非対称戦」となる。もちろん、日本が強者の立場である。

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