どんな競技であれ、対戦する両者の間には戦力の優劣がつきものだ。だが、時にはその戦力差が、違う意味を持つことがある。日本サッカーを取り巻く「非対称戦」をサッカージャーナリスト・後藤健生がつづる。
■下位リーグのレベルアップ
川崎フロンターレや横浜F・マリノスが圧倒的な強さを誇ってきたここ数年のJリーグ。彼らのおかげで、Jリーグの競技レベルは大幅に上がった。だが、今シーズンは両クラブとも戦力低下し、J1リーグの成長は止まったように見える。
しかし、そのレベルアップの波は、J2リーグを経てJ3リーグや日本フットボールリーグ(JFL)に波及している。今シーズンは、J3リーグとJFLのレベルアップが顕著だった。
下部リーグでも女子リーグでも、それぞれの選手がそれぞれのポジションに適したプレーを間違いなく選択できるようになっており、プレー強度やスピードといった面では上位リーグに劣っているのは当然のことだが、下部リーグでも戦術がしっかりした内容の試合ができるようになっているのだ。
「日本全体が底上げされている」と表現してもいい。
だから、代表のセカンドチームが出場しても、あるいはJ2リーグ以下の下部カテゴリーのチームも、国際舞台で十分に戦えるのだ。選手の戦術能力が高いからこそ、“寄せ集め”チームでもすぐにまとまって戦える。