■W杯優勝のために
Jリーグでこれだから、その下のレベルでヘディングパスの精度が高いわけがない。高校サッカーでもジュニアのサッカーでも、ヘディングは非常におざなりにされている。あるいは、クロスボールやロングパスを競り合ってヘディングシュートしたり、あるいはクリアすることにしか焦点が合っておらず、なかでも中盤でのヘディングは軽視されている。
日本人にヘディングパスの技術がないわけではない。しかしヘディングという技術のなかに「味方につなぐ」という意識が欠落しているのだ。
育成年代からこうした考え方を植えつけることが何より必要だ。たとえば10メートルのパスをインサイドキックでけって1メートルもずれていたら、指導者たちは「もっと正確に!」と注意するだろう。しかしヘディングに対しては、頭に当てて前に飛ばせば、それが相手に渡っても「ナイス・ヘッド!」と手を叩くのではないか。
「ヘディングもパス」という考え方を徹底することが、何よりも必要だ。ヘディングの強化は、19位まで上がったFIFAランキングを10位台の前半に押し上げ、さらに「10位以内」に食い込む(そうなれば、「ワールドカップ優勝」は現実的な目標になる)ステップの無視できない要素なのではないだろうか。