プロリーグができてわずか30年ということを考えれば、日本サッカー界の成長は目覚ましいものがある。だが、サッカージャーナリスト・大住良之の目には、ある重要な欠落が映っている。それは、日本代表のワールドカップ優勝へのラストピースになるかもしれないのだ。
■手本とすべき選手たち
Jリーグを見ると、一般に外国人選手はヘディングでかなりきっちりと味方につなぐ。鹿島アントラーズのMFディエゴ・ピトゥカ、川崎フロンターレのMFジョアン・シミッチ(ともにブラジル人)といった選手たちのプレーに注目してほしい。彼らは浮き球が自分のところにきたときには、「ともかく前に飛ばす」というようなヘディングはほとんどしない。素早く周囲を見てフリーの味方を見つけ、頭でそっと触ってそこにコントロールしやすいボールを落とす。たいていは横パスである。
浦和レッズのDFアレクサンダー・ショルツも、うっとりするようなヘディングのパスを見せる。ペナルティーエリアで相手のクロスをはね返すときにも、タッチライン際にいるフリーの味方選手に渡そうとする。
こうした外国人選手たちには、ヘディングにあっても、「ボールを失わないよう、味方にしっかり届けなければならない」というパスの考えが当然のように伴っている。