■希有な日本人選手
2021年限りで引退した阿部勇樹(ジェフ市原―浦和レッズ―レスター・シティ―浦和)は、ヘディングパスの名手だった。とくに1シーズン半をレギュラーとして過ごしたレスターから戻っての「ヘディングパス」の精度は群を抜いていた。日本人プレーヤーとしは希有な存在だった。
だが残念ながら、Jリーグの日本人選手の多くはヘディングしたボールが前にさえ飛べば自分の責任を果たしたように思っている(としか見えない)。AFCチャンピオンズリーグの試合を見れば、韓国Kリーグの選手たちのほうが圧倒的に「ヘディングパス」がうまい。彼らには明らかに「味方につなぐひとつの手段がヘディング」という意識がある。
「欧州や南米だからヘディングパスもうまい」のではなく、サッカーの技術を突き詰めるうえでのヘディングの考え方において、日本のサッカーはどこか欠落しているとしか思えないのである。「ヘディングパス」の成功率が上がれば、Jリーグのサッカーは確実にもう一段階レベルアップするはずなのだが…。