川崎フロンターレに新たに加入した元フランス代表FWバフェティンビ・ゴミス。初めて試合に出たのは9月15日のFW東京戦と時間がかかったが、その後、ACL初戦のJDT戦、そして、国立競技場での湘南ベルマーレ戦とチームは全勝している。
ゴミスがチームにもたらしたものとはいったい――鬼木達監督、日本人ストライカー3人、そして、本人に聞いた証言をまとめた。今回のその第1回目で、鬼木監督から見たゴミスについてだ。
FC東京戦後、川崎フロンターレの選手やスタッフを乗せたバスは等々力競技場を出発して成田空港の近くに向かった。翌日のフライトに備えるためで、その日の多摩川クラシコには選手全員が渡航できる準備をして等々力に集まった。ACLのJDT戦の登録メンバーは23人。Jリーグより多いメンバーに入った選手は、マレーシアに飛ぶ気持ちを高めていた。
その中に、FWゴミスもいた。FC東京戦が初めてのJリーグ出場で、それまで、コンディション調整に加えて日本特有の暑さへの対応に苦慮していたが、アジア制覇のために早くも2試合目の出場が目前となっていた。
マレーシアへのフライト時間はおよそ7時間。しかし、ACLのグループステージの組み合わせ抽選が行われたのが8月下旬だったことで、当然、ビジネスクラスなどの大きさに余裕のある座席は取れなかった。なんと、クアラルンプールへの便では全員がエコノミー席で、前日にフル出場した選手も体の大きな選手も全員がエコノミー席で渡航した。
しかも、フライトは遅れ、トランジットができない可能性が濃厚とされていた。選手にとってはいきなり“ACLの洗礼”を受けた形となった。