■後半のシステム変更
森保一監督は、前半をリードして折り返すと、後半はそれまで完璧に機能していた4-2-3-1を5-2-3(または3-4-3)に変更した。リードしている状況で守備を強化する思惑だったのだろうが、全体に重心が下がりすぎてかえって難しい試合にしてしまった印象もある。
ただ、このシステム変更は試合に勝つための策だったと同時に、こうした戦術変更に選手たちがどのように反応するかのテストでもあった。試合中にシステムを変更するというテストをドイツという強豪相手に行ったのだ。
そして、ドイツに攻め込まれる時間帯はあったものの、後半45分を無失点でしのぎきって、最後に2点を追加して勝負を決めた。
このテストも含めて、森保監督はドイツ戦という貴重な強化の機会を有効に使った。
日本代表が、もし、こうした強豪相手の試合経験を今後も積み重ねていくことができれば、強化は順調に進んでいくはずだ。
だが、ネーションズリーグ導入以来ヨーロッパの代表チームとの対戦を組むのは難しくなってきている。しかも、11月にはワールドカップ予選が始まるので、その後はアジアの格下相手の戦いが続く。
その意味で、ドイツとの試合はチーム強化のための非常に貴重な機会だったのだ。だから、1試合で2つのシステムをテストできたのは重要な経験だった。