サッカー日本代表はドイツ代表と対戦し、4-1の快勝を収めた。昨年のカタール・ワールドカップでの顔合わせに続く、強国相手の連勝だ。この勝利には大きな意味があり、また新たな疑問も湧き上がる。サッカージャーナリスト・後藤健生が、ドイツ戦と「その後」について考察する。
■ドイツ相手の完勝
日本代表が、ドイツ代表を相手に完勝した。
日本は昨年のカタール・ワールドカップでもドイツに勝利しているが、あの試合、とくに前半はドイツに一方的に押し込まれ、PKによる1失点ですんだのは幸運(もしくはドイツの拙攻)によるものだった。また、後半、日本がギアチェンジに成功したのは確かだが、2得点が生まれたのも多分にラッキーなものだった。
だから、僕は今回のドイツ戦を前に「結果として負けてもいいから、自分たちでボールを動かす積極的な戦いを挑んでほしい」と思っていた。
そして、日本は前線からのプレッシングでドイツの攻撃を封じ込め、パスを展開してサイドから崩し、結果としても4対1というスコアで圧勝したのだ。
ドイツがいくら絶不調だったとしても、日本チームの完成度の高さは目を見張るものだった。
前線の上田綺世とトップ下の鎌田大地が、相手のセンターバックに対してプレスをかけるところから始まって、組織的に守備をすることで相手の攻撃を封じ込め、最終ラインはセンターバックの冨安健洋と板倉滉のラインコントロールで高いラインを設定。全体をコンパクトにして、再三にわたってドイツのパスをカットした。
コンパクトな守備を実行するには、前から本気でボールを奪いに行くべきところと、引いて守るべきところの見極めが重要だが、選手全員の判断にズレはなかった。そうして奪ったボールを素早く前線に展開し、最後は右サイドの伊東純也と菅原由勢のサイドから崩して2ゴールを奪った。