■「ストライカーがいないのが大きな課題ですね」

――サイドバックのメンバーを試す余地があるとおっしゃいましたが、最終ラインは、まだ固める必要はない?

「全然固めなくていいと思います。選手って競争がないと、伸びないんですよね。だから、最終ラインも含めて、どんどんレギュラー候補を脅かす選手が出てきてほしいです。そうすれば、招集された海外組にとっても、良い刺激になりますから」

――では、日本代表にとっての悲願となる、ベスト8を突破するために必要なことはなんでしょうか?組織的な守備が課題ということでしたが、それ以外で、期待する選手や、さらに言えば“戦術三笘”を伸ばすべきかどうかなど……。

「ストライカーがいないのが大きな課題ですね。これは日本に限らず、世界の代表チームに共通する課題でもありますが、特に、今の日本は大迫勇也選手がいなくなったことで、深刻になっていると思います。

 大迫選手の後釜として上田綺世選手を試したり、先ほど述べた“戦術三笘”を使ってみたり、いろいろと試していますが、まだ答えは見つかっていません。それだけ、大迫選手というストライカー、ポストプレーヤーが大きな存在だったんです。

 大迫選手は、前線でしっかりとボールを収められるので、一度センターでボールを預かって、相手選手を集中させたのちに、サイドへ預けて、サイドから攻めさせるといった、理想の展開が作れたんですね。三笘選手はプレミアで注目を集めるほどの選手になったので、必ず相手チームは、サイドの三笘選手の対策を練ってきます。そうなると、いくら“戦術三笘”がすごくても、そのうち通用しなくなる。そこで、戦術の幅を広げるために、大迫選手のような、前線で攻撃の起点になる存在が必要になってくるんです。

 なので、課題は次のストライカー。そして、ポストプレーヤーを見つけること。これから探すのが難しければ、上田選手にぜひ頑張ってもらいたいです。それができれば、日本代表の攻撃パターンがもっともっと増えると思います。特に、これからのアジア予選は、日本が攻める展開になると思うので、そこでしっかり勝ち抜くために必要な要素です」

#4「三笘薫ベストセラー書籍『VISION 夢を叶える逆算思考』の〝ドリブル技術論〟と、サッカー少年へのアドバイス」に続く。

城彰二(じょう・しょうじ)
1975年6月17日北海道生まれ。鹿児島実業高等学校3年時の高校サッカー選手権大会でベスト4に入るなど、プロ入り前から活躍し、高校卒業後にジェフユナイテッド市原に加入。デビュー戦を含め4試合連続でゴールを決めるなど、若くして注目の選手となる。その後、横浜マリノスへの移籍などステップアップを続け、A代表として1997年、フランスW杯アジア最終予選に参加。悲願の本選初出場を決めたチームにおいて、エースストライカーとして活躍する。現役引退後は、解説者として活躍。現在はユーチューブチャンネル『JOチャンネル』での動画配信など、サッカーの魅力を発信し続けている。

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