J1はシーズン後半戦に入っており、争いが激化している。上位では、首位から4位までが勝点6差にひしめく。昨季も優勝した横浜F・マリノスと川崎フロンターレが最後までデッドヒートを繰り広げたが、今季はやや趣きが異なる。今シーズン見えてきた新たな流れを、サッカージャーナリスト・後藤健生がつづる。
■酷暑の影響
試合内容が良くないように見える、もう一つの原因は何と言っても、この夏の異常な暑さである。
もともと日本の夏は非常に厳しい暑さと湿気に見舞われるが、今年の7月から8月にかけては気温が摂氏35度を超える「猛暑日」が続き(続いており)、いつもの夏以上に暑さによる影響は大きかった。
浦和が湘南相手に大苦戦した試合。浦和の選手たちの動きには、まったくキレというものがなかったが、それも無理からぬこと。浦和は8月22日火曜日の夜に、ACLのプレーオフを戦っていたのだ。
スコルジャ監督は、香港の理文との試合でターンオーバーはほとんど使わず、ベストメンバーで戦った。そして、ともに右サイドからのクロスから、3分に小泉佳穂、6分に興梠慎三がそれぞれ決めて2点差とすると、その後すぐに意識的に“省エネ・モード”に転換して疲労をためないことを優先して戦った。
しかし、“省エネ”が原因なのかはわからないが、その後のチャンスになかなか追加点を決められず2点差のまま推移したので、選手を休ませるための交代も使いにくい状況となってしまった。後半アディショナルタイムにやはり右サイドからの攻撃の後、関根貴大が決めて最終的なスコアは3対0としたものの、予想した以上に体力を使ってしまったのだ。
そして、中2日で迎えたのが第25節の湘南戦だったのだ。動けなくて当たり前、キレがなくて当たり前の状況だったと言える(プレーオフの日程は分かっていたのだから、金曜日の湘南戦は週末に日程を変更すべきだった)。