■日本代表の強みとは
――これからの日本代表は何よりも、“個の力”を伸ばす必要があるということでしょうか。
そんな単純な話ではありません。サッカーというのは個人戦術があったうえで、グループ戦術があって、チーム戦術がある。個人の力を伸ばすのはもちろんですが、その力を活かせるようなチーム環境を作ることも重要です。そのためには、次世代の日本代表をどんな風に作るかをまず考えて、今から選手の育成やスカウトをする必要があると思います。
日本代表の強みをあげるとすれば、“交代ができる”という点ですよね。替えがきかない圧倒的な選手に頼るチーム作りではなく、みんなが同じようにレベルを上げてきているので、5人交代というルールでも、同じような力の選手を出すことができる。これは、カタールW杯のドイツ代表やスペイン代表にはできなかったことです。今の日本代表の特徴のひとつと言えますね。
――総合的なレベルが上がってきている日本代表。ズバリ、ワールドカップベスト8以上、さらには優勝という目標を実現できる可能性はありますか。
日本代表が着実に力をつけている一方で、ヨーロッパなどの強豪国は、クラブチームはうまくいっても、代表のチーム作りがうまくいっていないという状況が続いている。そういう意味では、日本は上がって海外は下がっているわけですから、期待はできますよね。我々の想像よりも早く、優勝をつかむチャンスが巡ってくるかもしれませんよ。
かざま・やひろ
1961年10月16日、静岡県生まれ。清水商業高校時代に日本ユース代表として79年のワールドユースに出場。筑波大学在学時に日本代表に選出される。卒業後、ドイツのレバークーゼン、レムシャイトなどで5年間プレーし、89年にマツダ(現サンフレッチェ広島)に加入。97年に引退後は桐蔭横浜大学サッカー部、筑波大学蹴球部、川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を歴任。2021年よりセレッソ大阪のアカデミー技術委員長に就任。