■スマホ世代は頭がいい!?
――サッカー界の改革という点では、風間さんは2021シーズンからセレッソ大阪のアカデミー技術委員長に就任されています。世界で活躍する次世代の三笘選手を作るためのメソッドや子どもたちへの指導法などについても、教えてください。
セレッソ大阪では、「スペトレ」という独自のトレーニングをしていて、これは、小学校から高校までの間で、年齢、性別を問わずに選抜した選手を、私が直接指導するというものです。小学生と高校生を試合させてみたり、ミーティングですごく難しいディフェンス戦術の映像を見せたりと、年代に関係なく、等しく高度なことを要求しています。
そこで気づいたのが、現代のスマホ世代の子どもたちは、非常に頭がよくて、大人の考えを持っていること。中には、プロよりも先に、難しい戦術を理解して実践してしまう小学生選手もいたりするので、「難しいサッカーは大人になってから」という固定概念は捨てなくてはいけない。今では私も考えを改めて、若ければ若いほど、難しい戦術をどんどん要求しています。
――サッカー少年やその親御さんたちに向けて、ご家庭でできる指導法やアドバイスはありますか。
私がいつも言っているのは「親御さんは本気にならないこと」。サッカーというのは、自発的にやるスポーツで、今の自分にはこの技術が必要だと考えて、それを習得するためのトレーニングをするという順序で練習をします。親御さんから、このトレーニングをやりなさいというのは、順序が逆なんですね。なので、子どもが自発的にやっていることを邪魔しない、これが一番だと思います。
#4「三笘薫への期待と日本代表の展望」に続く。
かざま・やひろ
1961年10月16日、静岡県生まれ。清水商業高校時代に日本ユース代表として79年のワールドユースに出場。筑波大学在学時に日本代表に選出される。卒業後、ドイツのレバークーゼン、レムシャイトなどで5年間プレーし、89年にマツダ(現サンフレッチェ広島)に加入。97年に引退後は桐蔭横浜大学サッカー部、筑波大学蹴球部、川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を歴任。2021年よりセレッソ大阪のアカデミー技術委員長に就任。